エンジニア’S VOICE

製品別開発ストーリー 技術の力×人の力

安心・安全なドライブを叶えるために、カーナビゲーションにできることは、もっとある。開発者として、機能の根本を考えることから始めました。
デジタルネットワーク関連:カーナビゲーション開発、SE業務担当 T.N
デジタルネットワーク関連:カーナビゲーション開発、SE業務担当 T.N

01.開発課題

緊急警報放送を、カーナビでも受信できるように。
新しい機能を搭載するための、理論をつくり上げる。

カーナビゲーションは、今や道案内だけにとどまらず、音楽やDVDの再生、デジタルテレビチューナーをはじめ、燃費情報・交通情報・周辺の店舗情報まで、ドライブを快適にするさまざまな機能が搭載されています。自動車メーカーはさらに、コンテンツ配信などの独自サービスを各社それぞれに充実させながら、ユーザーに選ばれる製品を目指しています。いくつもの機種が販売される中で、私たちが開発を担当しているのは、カーディーラー向けのカーナビゲーションです。カーディーラーで車を購入するお客様にオプションとしてカーナビゲーションも購入していただけるように、車との連動性が高く、市販品との差別化がされた製品を目的に開発を進めています。

今回の新製品では、すでにある機能の向上と同時に、パナソニックとして自動車メーカーに提案したEWS(Emergency Warming System:緊急警報放送)を受信する新しい機能の開発も任されました。EWSは家庭のテレビでも受信され、地震などの危険をいち早く知らせてくれるシステムです。しかし、車は“移動体”であるがゆえに、家庭のテレビと同じようにはいきません。走行しているエリアによって、電波の状態、受信できる放送局そのものが変わったりします。車がどこを走っていても緊急警報を受信できるようにするには、どうすれば良いのか。そこが、大きな課題でした。

02.解決プロセス

 

緊急警報放送は、放送局ごとに発信されています。発信する基準も放送局によってさまざまなため、どの放送局が発信したEWSを受信するか、まずは決めなくてはなりません。家庭のテレビでは、普段観ているチャンネルすべてから、つねにEWSを受信できるようになっています。同じような仕様にすると、カーナビゲーションでは処理に時間がかかり過ぎてしまい、番組表を取得する機能などに影響を与え、処理スピードを落としてしまいます。放送局を限定すれば、製品への負荷を最小限にしてEWSを受信することができます。ただ、選んだ放送局を受信できないエリアやその放送局がEWSを発信しない場合があることも考えなければなりません。メリットとデメリットがそれぞれにあり、すぐには仕様が決まりませんでした。

自動車メーカーをはじめ、私たちのチーム、他のサプライヤーなど、多くのメンバーが集まり、協議しながら、仕様を決定するプロセスに時間をかけました。複数の案とユーザーへのヒアリングをもとにした協議は1度では終わらず、数カ月ものあいだ、何度も、何度も話し合い重ねました。私はその協議のリーダーを任され、調整役として意見をまとめ、多くの理論と理念を集約しながら最適な方法を考え続けました。

03.成果

 

協議の結果、ユーザーが設定しているすべてのテレビチャンネルを、1チャンネルずつ、必要最小限の時間のみ受信し続ける仕様にまとまりました。短時間の受信を繰り返すことで、処理する情報も減り、製品への負荷の問題もクリアできました。問題に対する答えが決まったあとは、協議のリーダーを務めた私がお客様のもとに出向き、機能と仕様の方向性を提案しました。その後、プログラマーとも実現性の検討を行い、大きな問題もなくスムーズに開発へ辿り着くことができました。新しい機能を実現させるために、考えをまとめる。技術的な問題よりも前にある“思考のプロセス”に携わることで、開発の根底に携われるやりがいを強く感じることができました。

ホームページに製品が載ったときは、率直に嬉しく、1年間続けてきた開発の結果をチームの仲間と一緒に確認し、商品が世に出ることを改めて実感することができました。今後は、ドライブ中の安心・安全を意識した機能やオプション製品をまとめることで車との連携を高めていきたいと思います。より多彩な機能を搭載し、ドライバーをより便利で快適に、そして、より安心・安全に包み込むことができる“運転席のコックピット化”を目指し、車の未来を引っ張っていけるカーナビゲーションを開発していきたいと考えています。

プロフィール

カーナビゲーション開発 SE業務担当 T.N

工学部・情報工学科卒、パナソニック出資の別会社を経て、2010年5月入社。前職から一貫してパナソニックのカーナビゲーション開発に携わる。