エンジニア’S VOICE

製品別開発ストーリー 技術の力×人の力

洗濯から洗濯・乾燥の一体化、タテ型からドラム式へ、ヒータ乾燥からヒートポンプ乾燥へ。そして洗濯9キログラム・乾燥6キログラムという大型化へ。パナソニックの洗濯乾燥機は進化を続けます。
ホーム家電関連:ドラム式洗濯乾燥機開発 機構設計担当 J.K
ホーム家電関連:ドラム式洗濯乾燥機開発 機構設計担当 J.K

01.開発課題

世界初の「ヒートポンプドラム式洗濯乾燥機」の開発。
それは、限られたスペース・振動・洗濯水(洗剤成分含む)との戦い。

約15年にわたり、洗濯機・乾燥機・洗濯乾燥機の開発を手がけてきました。部署の異動もなく、長年同じ製品と向き合い、その進化に携わり続けられるのは「パナソニック エクセルテクノロジー」ならではの魅力だと思っています。中でも最も印象に残っているのは「ヒートポンプ」の搭載です。それまで乾燥機能はドラム全体を熱で温める「ヒータ式」でした。しかし洗濯物をより速く、もっとふんわり乾燥させるため、ドラム内に熱風を送り込む「ヒートポンプ式」を開発することになったのです。

「ヒートポンプ」とは、熱交換器と冷媒および、その冷媒を膨張・圧縮させる膨張弁と圧縮機(コンプレッサ)から成る熱交換ユニットで、家庭用のエアコンなどにも広く用いられています。ただしこれを、限られたスペースで、脱水時に振動が発生する洗濯乾燥機に組み込むとなると、事態は一気に複雑になります。その中でいかに可能性を引き出すか、洗濯水の流入や、湿気・洗剤成分による金属部品の劣化をどう防ぐか、長時間の振動にどう耐えるか…。過酷な条件下で安全に、安定して作動させるためには、クリアしなければならない課題が山積みでした。

02.解決プロセス

 

設計の仕事は大きく二つに分かれます。一つは従来の機能・性能を発展させる「継承技術」。もう一つは新しい機能・性能を開発する「新規技術」です。特に「新規技術」では製品になった際にどんな問題が発生するか、まったくの未知数。設計段階から起こり得るトラブルを徹底的に洗い出し、事前に対策を講じる必要があります。もちろん「ヒートポンプ式」も完全な「新規技術」。発火、水漏れ、漏電といった大きなトラブルから、振動によるネジのゆるみ、糸くずによる機能低下などの問題まで、製品の全領域にわたる課題抽出を行いました。

いくら画期的な機能を持つ製品でも、安全面への配慮が欠けていては意味がありません。だから開発のプロセスは「問題認識」「原因究明」「解決策立案」「解決策実行」「結果の検討と反省」の繰り返し。近道や即効薬のようなものはなく、細かな検証を積み重ねることによって、完成させていくしかありません。

03.成果

 

トラブルを最小限に抑えるためには、機能を落とすことなく構造をできるだけシンプルにすることが重要。これは「小型でハイパワー」を実現するためにも不可欠な視点です。また問題を発見しても一人で解決する能力は限られています。常に設計チーム内でコミュニケーションをとり、先輩エンジニアに相談しながら進める必要があります。そんな中で試作と検証を繰り返して完成した「ヒートポンプ式」は乾燥時、ドラム内に多量の熱風を送り込むという高性能。湿気や振動、洗剤成分や糸くずなどにも十分な対策を施し、無事に「世界初」として発表されました。

しかし期限内に納得のいく製品ができたとしても、100%満足することはありません。どんな仕事にも必ず反省点があり、自分に足りない技術も見えてきます。反省を次の仕事にどう活かすか、不足しているスキルをどう磨くか。それがエンジニアとしての成長だと考えます。

プロフィール

ドラム式洗濯乾燥機開発 機構設計担当 J.K

工学部・機械工学科卒、1993年4月入社。電化調理器(3年)から洗濯機に異動し、パナソニックの洗濯機・洗濯乾燥機の進化・発展にずっと携わり続けている。