エンジニア’S VOICE

製品別開発ストーリー 技術の力×人の力

研ぎ澄まされた音を奏でるTechnicsブランド。最高クラスの品格と完成度を目指して、100分の1秒単位の違和感を取り除き、使い心地の良さを追求しました。
デジタル家電関連:オーディオ開発、システム担当、ソフト系エンジニア H.S
デジタル家電関連:オーディオ開発、システム担当、ソフト系エンジニア H.S

01.開発課題

ハイエンドモデルのオーディオ製品「Technics」の復活。
音質も、操作性も、ブランドに恥じないクオリティを貫く。

高音質と革新的な製品の数々で、世界中のオーディオファンを魅了してきたPanasonicの高級オーディオブランド「Technics」。そのデザインも高く評価されており、ニューヨーク現代美術館に永久展示されている製品もあります。2000年代初頭には一部の製品を残して販売を終了していましたが、近年の“ハイレゾ”への注目の高まりなどから、再び高音質のオーディオを届けるため、2014年に復活。その第一弾となる、ネットワークオーディオコントロールプレイヤー「SU-R1」とネットワークオーディオプレーヤー「ST-C700」の開発を担当しました。

オーディオ好きの父親がTechnics製品を愛用していたため、子どもの頃から親しみがあり、思い入れのあるブランドに携われるだけでなく、その復活の第一弾となる製品を開発できる。エンジニアとして、これほど嬉しいことはありませんでした。だからこそ、Technicsの名に恥じないクオリティで復活させるために、細部まで徹底的にこだわりました。

02.解決プロセス

 

最もこだわったのは“操作性の心地良さ”です。リラックスをして上質な音楽を楽しめるように、少しでも気になる「ちらつき」や「ノイズ」を徹底的に排除していきました。目では認識できなくても、何か違和感を感じる再生時間のカウンターは、高性能カメラで見ると100分の1秒単位のズレが生じる時間がありました。実機を動作させ、カメラで確認しながらズレを修正。その他にも、USB再生での曲セレクトをスムーズに見せたり、曲の始まりと同じタイミングで曲やアーティスト情報を表示したりするために、検証と調整を重ねていきました。

開発の終盤には、スキップ操作などによって曲が切り替わるときに、わずかな音の違和感を感じると、スペシャリストから報告されました。 調査を進めた結果、音の特性によるものと判明しましたが、Technicsとして最高クラスのクオリティを目指す上で、この違和感は見逃せません。そこで、音の出力部分であるデジタルシグナルの担当者と連携をとり、切り替わり直前のわずかなタイミングで、音の出力を最適化するプログラムを開発。問題を解決することができました。

03.成果

 

こうしてTechnicsブランドの復活第一弾となる新製品が誕生。2014年の9月に欧州で開催された世界最大のコンシューマーエレクトロニクスショーであるIFAにて発表されました。評論家の方からも高い評価をいただき、各国の方々からの注目を集め、販売への期待を高める契機となりました。国内では2015年2月に販売を開始。ネット上でも話題になり、復活を待ち望んでいたユーザーの喜びの声が多く見られました。パナソニックセンターにあるTechnics製品の試聴ルームも連日盛況で、なかなか予約が取れない状況だそうです。音質はもちろん、デザイン性や操作性など、高級感溢れる製品で、本物の音を楽しむ喜びを、多くのユーザーに実感していただけていると思います。実際に試聴ルームへ行った知人からも「感動した」という言葉をもらいました。

このプロジェクトをきっかけに、私は今もTechnicsブランドの開発現場に携わっています。今後は、「ST-C700」のような、ユーザーの手が届く製品を中心に、ブランドの魅力と音の魅力が感じられる製品を開発していきたいと思います。オーディオは嗜好品であり、家庭に必ずしも必要な製品ではありません。しかし、音楽がなくなることはなく、音楽を楽しみたいという気持ちがなくなることもないでしょう。嗜好品であるからこそ、人に多くの感動をもたらしたい。エンジニアとして細部まで徹底的にこだわった製品に仕上げるため、努力を続けていきたいと思っています。

プロフィール

オーディオ開発 システム担当 ソフト系エンジニア H.S

1999年の入社から9年間は半導体を担当し、その後オーディオ製品を担当。一貫してPanasonic製品の開発に携わる。