エンジニア’S VOICE

製品別開発ストーリー 技術の力×人の力

100μm以下の精密さから、重量物を運送するパワフルさまで。トップレベルの性能をもつパナソニックの産業用モータは、見えないところでグローバルに活躍しています。
デバイス関連:産業用モータ開発、回路設計担当、電気系エンジニア T.U
デバイス関連:産業用モータ開発、回路設計担当、電気系エンジニア T.U

01.開発課題

産業用モータの動作精度を上げ、さらに駆動する時に発生するノイズも抑える。
鍵となる「アンプ」をより高精度、高効率にし、モータをコントロールする。

モータの回転速度を一定に保ったり、トルクを変動させたりと、 モータの動作を制御するために重要な役割を担っている「アンプ」。 私は、産業用モータに使われるアンプの開発に携わっています。 制御装置から送られてきた制御信号をアンプが確実に処理し、 モータの動作を制御することで機器を正確に動かすことが出来ます。 たとえば、ICチップのウェハーを100μm以下の精度で切断するダイサーや、 基板の上に瞬時に部品を置く位置決め精度がもとめられる実装機などの精密機器用モータ、 重いものを瞬時に運ぶパワーが求められる搬送用モータといった、 さまざまなモータを動かすためにアンプが活躍しています。 高いエネルギー効率と高精度で、パナソニックのモータはトップレベルの性能を誇っており、 それを制御するアンプは、動作システムの中心的な存在となっています。

最近は、スマートフォンなど精密機器の製造に用いられる精度の高いモータへのニーズが高まっています。 ICチップは、更なる小型化が進められ、モータを動かすアンプにも、 より精密な制御機能が求められているのです。 そこで、標準仕様のチューニング機能では、対応できないお客様の場合には、 要望に応えるため使用環境に合わせてアンプをカスタマイズするなど、 アンプの開発担当者として、開発から納品後まで責任を持ち、 日々さまざまな問題の解決に取り組んでいます。

02.解決プロセス

 

たとえば、実装機の筐体が振動することによって、 基板上に配置する部品の位置にズレが生じる問題があります。 機械が動くことで、筐体自体が振動してしまい、基板の上に部品を置く精度が 下がってしまうのです。 原因を追求したところ、アンプからモータへ送る電流が瞬間的に多く流れすぎていることでした。 電流をより正確にコントロールするため、 アンプからモータへの電流を監視している検出機能をさらに精密、かつ、高速にすることで、 問題を解決していきました。

また、最近では、ヨーロッパの規格に合わせて、 アンプから発生するノイズを抑えたいという依頼がありました。 アンプの高速化も要求されていたのですが、 高速化を進めようとすると モータを制御する動作タイミングが多くなることにより影響が生じ、 ノイズが発生してしまいます。 高速化を実現させながら、かつ、ノイズを抑える。 さらに、ヨーロッパの厳しい基準をクリアしなければならない。 そんな難しい条件をクリアするために、開発を進めてきました。 その規格審査は1度落ちると次に受けられるのは1ヶ月後となり、製品の販売にも 遅れが出てしまいます。 高速化によって動作タイミングが多くなることによるノイズの影響は、 電圧を落とすことでノイズのピークを下げ、さらにアンプの制御方式を変えることによって、 ノイズを抑えることが出来ました。 次は、ヨーロッパ規格を通過するために、あらゆる可能性を考えて、 トライアンドエラーを何度も繰り返しました。 オシロスコープを使って電気信号を捉えながら、わずかな波形の乱れも見逃さず、 少しでも気になる点があれば徹底的に検証していったのです。

03.成果

 

綿密な検証を重ねた結果、ヨーロッパの規格の審査を一度で通過することが出来ました。 厳しい規格ではありますが、審査に通ると ものづくりの品質や環境性が認められた証明となるため、 私たちとお客様にとって大きな信頼にもつながります。 審査を通過できた背景には、開発現場で培ってきた経験に加え、 疑問点を徹底的に解決していく検証スタイルがあったと思います。 シミュレーターを使って製品の検証を行うことも出来ますが、まだ完全ではありません。 最先端の開発現場でも、やはり人の手を使った検証と調整が重要になってきます。 それが、パナソニック製のモータの高品質と高性能を実現しているのです。

私は、産業用の製品を担当していますが、社内には家電用製品を担当する エンジニアが数多くいるため、お互いに仕事への取り組み方など、 学びあえることも多くあります。 家電用製品の担当者がもつ視点が、産業用製品に応用できるひらめきとなる機会も多くあり、 また、トライアンドエラーでの”気づきの鋭さ”を身につけることにもつながっています。 新製品の開発とは、新しい挑戦を行うことです。 目指すのは、業界の新たなスタンダードになること。 視野を広く持ち、日本だけでなく海外の情報にも目を向け、グローバルに展開できる 産業用製品の開発に、今後も取り組んでいきます。

プロフィール

産業用モータ開発 回路設計担当 電気系エンジニア T.U

産業用モータに関わるアンプ開発を担当。グローバル展開や新規開拓、技術の応用を目指した幅広い視野で製品開発を続けている。